One Million B.C. (1940)
Director:ハル・ローチ
Cast:ヴィクター・マチュア / キャロル・ランディス / ロン・チャニー・Jr. / ジョン・ハバード
Production Company:ハル・ローチ・スタジオ
「アキータ!」というわけでトカゲ特撮の代表的作品、『紀元前百万年』(1940)である。後にハマー・フィルムがレイ・ハリーハウゼンのダイナメーションと共に『恐竜100万年』(1966)としてリメイクし、ハマー最高の興行収益を叩き出したもののオリジナルにあたる作品。
しかし、本作は『恐竜100万年』のオリジナルとは言えども、あくまで低予算の「トカゲ特撮」である。象や豚に着ぐるみを被せて恐竜に見立てたものに始まり、トカゲやワニ、イグアナやアルマジロといった実際の爬虫類に背びれやトゲをつけて大写しにして合成するという、現代のCG映画に慣れてしまった世代からすれば拍子抜けも甚だしいであろう愛すべき低予算作品である。
この手のトカゲ特撮は動物愛護の観点やCG技術の発達に伴って、現代では制作されることはなくなってしまったジャンルであるが、私が幼少時代をおくった1970年代頃までは比較的目にすることの多かったジャンルであり、実際幼い頃の無邪気な私はトカゲ特撮を目を輝かして観ていた。流石にこの歳になって観返すと、背びれをつけたワニとトカゲを本当に殺し合わせている映像には「おいおい、それはちょっと」と冷めた感想しか出なくなってしまっているが、当時はそんな映像に興奮したものである。何とも子供は残酷だ。
一応、キャスティングに我々怪奇映画ファンには御馴染み、ロン・チャニー・Jr.がその名を連ねているが、セリフらしいセリフもない本作においては、もはや誰が演じても同じという役柄である。やはり、ハリーハウゼンの特撮とラクウェル・ウェルチなくして『恐竜100万年』の大ヒットはあり得なかったのだと、実感する作品。
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