Frankenstein meets the Wolfman (1943)
Director:ロイ・ウィリアム・ニール
Cast:ロン・チャニー・Jr. / ベラ・ルゴシ / ライオネル・アットウィル / イローナ・マッセイ
Production Company:ユニヴァーサル
ユニヴァーサル・フランケンシュタイン・シリーズ第5作目にして、初のモンスター共演作品。フランケンシュタインの怪物と狼男の共演のため、物語の設定はそれぞれの時代関係や地理関係を無視した御都合主義的なものとなっており、もはやモンスターが単なるキャラクターと化したことを如実に物語る作品でもある。
物語は、『狼男』(1941)から続くかのように始まる。父親の銀の杖で死の安らぎを得たはずの狼男、ローレンス・タルボットは墓荒らし達の手により、再びこの世に甦ってしまう。自らが不死であることを知り絶望するタルボットは、永遠の安らぎを求めジプシーの老女と共にフランケンシュタイン博士を訪ねるが、博士は既にこの世に亡く、崩れた城跡を晒すのみとなっていた。しかし、失意の中フランケンシュタイン城に彷徨い込んだ彼は、偶然にもそこに氷漬けとなったフランケンシュタインの怪物を見つけるのであった・・・。
前作『フランケンシュタインの幽霊』(1942)でフランケンシュタインの怪物を演じたロン・チャニー・Jr.は今回当り役の狼男に扮し、フランケンシュタインの怪物は替わってベラ・ルゴシが演じている。そう、奇しくも前作でルゴシ演じたイゴールと脳を入れ替えられた怪物は、本作で何と役者まで本当にルゴシへと変わってしまったのであった。しかし、ルゴシにとってのフランケンシュタインの怪物役は、何とも因縁を持った役柄である。初作の『フランケンシュタイン』(1931)で当初怪物役として予定されていたルゴシは、台詞がなく素顔の出ない怪物役を嫌ったとも、テスト・ショットを見たユニヴァーサル総帥、カール・レムレ・Jr.がルゴシのメイクを見て大笑いしたとも言われ、結果として替わりに演じたボリス・カーロフが怪奇俳優としての座を確立したのは有名な話である。怪物を演じたライバルの目覚しい出世の陰で役者人生から転落したルゴシは、皮肉なことにまさにその怪物役を『魔人ドラキュラ』(1931)から12年後にこのような形で演じたのであった。
しかし、ルゴシは当時61歳。さすがに年老いたという感は否めず、数十キロあるという怪物のメイクを施してよろよろと歩く様は往年の名声を知る者の悲しみと哀れみを誘わずにはいられない。アクションシーンはスタントマンのエディー・パーカーが代役を勤めたものの、怪物のメイクも丸顔のルゴシには似合わず迫力に欠けており、個人的にはフランケンシュタイン・シリーズ中最も怪物の外見が情けなく見える作品であるように思う。
本作品は決して良質の怪奇映画とは言えないが、それでも本家ユニヴァーサルのフランケンシュタインの怪物と狼男の共演は、この上なくわくわくする組み合わせである。ラストの怪物と狼男の格闘もこの後連作されるモンスター共演ものと比較すると十分な見ごたえがあり、怪獣映画的なわくわく感は十分に満たされる作品である。決してルゴシの怪物を一目だけ見て「ダサイ」とは思わぬ方達にだけ見て頂きたい一品。
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