The Return of the Vampire (1943)
Director:ルー・ランダース
Cast:ベラ・ルゴシ / ニナ・フォッホ / フリーダ・イネスコート / マット・ウィリス
Production Company:コロンビア
『魔人ドラキュラ』(1931)の続編として執筆されたものの、ユニヴァーサルがその脚本を採用しなかったためにコロンビアが買い取り映画化した、あわや『魔人ドラキュラ』の正当なる続編となったかもしれぬ作品。低予算映画ではあるものの、ドラキュラを彷彿とさせる吸血鬼アーマンド・テスラをベラ・ルゴシが演じた、正統派の吸血鬼映画である。
1918年のロンドン。墓地に潜む吸血鬼アーマンド・テスラは、診療所の女性をその毒牙にかけていたが、吸血鬼の存在に気が付いたサンダース教授によって杭を打ち込まれ、滅ぼされてしまう。それから25年後。第二次世界大戦中ドイツ軍のロンドン空爆の混乱に乗じ復活したアーマンド・テスラは、手下の狼男と共にサンダース教授の孫であるニッキーを狙い、復讐を開始するのであった。
ユニヴァーサルの『フランケンシュタインと狼男』(1943)を意識して、吸血鬼の手下として狼男を共演させるよう急遽変更された脚本のため、アーマンド・テスラの手下として働く狼男の必然性が薄く、またそのメイクはユニヴァーサルのものとは遠くかけ離れた稚拙な出来栄え。しかも、細かい部分まで配慮の足りない作品でもあり、ルゴシが棺を跨いで地に下りる滑稽なシーンが撮影されていたり、催眠術で操られているにも関わらず夜着を羽織ってから夢遊歩行するニッキー等、疑問の残る演出が随所に見られる。
それでもやはり、ルゴシがドラキュラスタイルの正統派吸血鬼を演じていることもあって、怪奇幻想の愛好家にとっては充分に楽しめることができる作品である。『魔人ドラキュラ』、『古城の妖鬼』(1935)、『凸凹フランケンシュタインの巻』(1948)と並ぶ、ベラ・ルゴシ主演の吸血鬼映画の一つとして、押さえておきたい作品である。
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