The Mummy's Curse (1944)
Director:レスリー・グッドウィンズ
Cast:ロン・チャニー・Jr. / バージニア・クリスティーン / ピーター・コウ / ケイ・ハーディング
Production Company:ユニヴァーサル
ユニヴァーサル・ミイラ・シリーズの第5作目にして、『凸凹ミイラの巻』(1955)を除外すればシリーズ最終作にあたる作品。一体どこから突っ込みを入れようかと首を捻らなくてはならないほどに多くの矛盾を孕み、シリーズとしての整合性が破綻した脚本には、もはや初作『ミイラ再生』(1932)の影はない。
舞台は前作『執念のミイラ』(1944)から25年後(と言うことは1995年でなくてはならない)のルイジアナ(前作でカリスが沈んだのはマサチューセッツだったはずなのだが)。沼地で進められていた建設現場の作業員達の間では、アナンカ姫と共に沼地に消えたミイラ男カリスの噂が絶えなかった。作業員達に広がる恐怖の中、記憶を失った女性が現れ、それに呼応するかのごとくミイラ男カリスが現れるのであった。
あらすじだけでも既にシリーズとして破綻している本作だが、その内容もまた酷い。真後ろまで迫っているカリスに全く気が付かずに車で走り去るカップル。犠牲者の首を締めている間にアナンカ姫に逃げられるという余りに間抜けなカリス。片腕を吊り片足を引きずるカリスがアナンカ姫を抱きかかえる際には何故か両腕が自由となり、アナンカ姫を降ろすと同時にまた片腕が定位置に戻るといういい加減な演出。正直なところ、ミイラ男シリーズはジャック・ピアースの手によってロン・チャニー・Jr.に施されたそのメイクだけが売りなのであり、そのイマジネーション溢れるスチール写真からは予想もつかないほどに内容は酷いというのが実態である。
そんな中、本作で唯一輝いているのがアナンカ姫復活のシーンである。泥の沼の中から徐々にもがきながら甦るアナンカ姫の姿は、それが女性であるということも手伝って一種異様な雰囲気を作り上げている。泥の中でもがくというまさに「汚れ役」を演じたバージニア・クリスティーンの面目躍如であるが、それがミイラ男カリスよりもインパクトを放っているというのも悲しい話ではある。
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