The Uninvited (1944)
Director:ルイス・アレン
Cast:レイ・ミランド / ゲイル・ラッセル / ルース・ハッセイ / コーネリア・オーティス・スキナー
Production Company:パラマウント
ドロシー・マカードルの小説を原作とした幽霊屋敷ものの古典的作品。当初は幽霊の描写を暗喩に留める方針であったが、パラマウントの意向により特殊効果で靄のような幽霊が直接的に登場するよう変更された。しかし、イギリス公開版ではその肝心の幽霊の描写が検閲でカットされてしまい、その暗喩的表現が逆に評判となったと言うのであるから、何とも皮肉な話である。
音楽家のロデリックと妹のパメラは、海沿いの絶壁に建てられた空き家を気に入り、その屋敷が幽霊屋敷であることを知るも破格の値段で手に入れる。早速屋敷に移り住む二人であったが、夜毎に屋敷で起こる怪現象や、女性の泣き声にやがて悩まされ出す。屋敷の前所有者であるビーチ中佐によれば、元々屋敷は中佐の娘夫婦が住んでいたのであったが、娘夫婦が死亡する事故が起こって以来、悪い噂が流れているというのであった。二人は、幽霊の正体が何者であるのかを突き止めるべく、調査を開始する。
古典的な幽霊屋敷ものではあるが、本作は幽霊による怪現象よりも、その幽霊の正体は誰なのか、何を伝えようとしているのか、という点に主軸が置かれたサスペンス風な内容である。それに加えてレイ・ミランド演ずるロデリックとヒロインを演ずるゲイル・ラッセルの恋愛要素が絡むため、私のような人間にはやや退屈で拍子抜けな作品でもある。しかし、それでも手堅い演出とパラマウントの意向で加えられた幽霊の直接的描写、ラストの捻りは中々良く出来ており、幽霊屋敷ものの古典としての地位を確立していることは確かである。
なお、劇中でロデリックがステラの前で弾く「星影のステラ」は、本作のためにヴィクター・ヤングが作曲したインストゥルメンタルであるが、1946年にネッド・ワシントンが歌詞をつけてもいる。この「星影のステラ」は最もスタンダードなジャズ・ナンバーの一つとなり、フランク・シナトラやマイルス・デイヴィスらも演奏している名曲である。
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