Abbott and Costello meet Frankenstein (1948)
Director:チャールズ・T・バートン
Cast:ベラ・ルゴシ / ロン・チャニー・Jr. / グレン・ストレンジ / ヴィンセント・プライス
Production Company:ユニヴァーサル
ベラ・ルゴシのドラキュラ伯爵が本家ユニヴァーサルの銀幕に帰ってきた!と言っても、実は本作品はその邦題からも想像できる通り、純粋な怪奇映画ではない。この『凸凹フランケンシュタインの巻』(1948)は、バッド・アボットとルー・コステロという二人のコメディアンを主人公に、彼らが往年のユニヴァーサル・モンスター達に出会い、ドタバタの喜劇を繰り広げるという怪奇映画ならぬ、コメディ映画なのである。この凸凹コンビとモンスターとのドタバタはヒットを飛ばし、以後シリーズとして展開され凸凹コンビはミイラや透明人間等と出会うこととなるのだが、本作品はそのシリーズの第1作目である。
この『凸凹フランケンシュタインの巻』は、モンスター達のキャストが豪華であり、ルゴシ演ずるドラキュラ、グレン・ストレンジ演ずるフランケンシュタインの怪物、ロン・チャニー・Jr.の狼男、そして映画の最後に声だけの出演ではあるがヴィンセント・プライスの透明人間という、ユニヴァーサルの怪奇俳優勢揃いの豪華キャスティングである。この組み合わせと映画の雰囲気は明らかに「怪物くん」に影響を与えていると思われるが(「怪物くん」のドラキュラは、ルゴシではなくジョン・キャラダインのドラキュラがモチーフであると思われるが)、既に1948年に本家本元のユニヴァーサル自身がセルフ・パロディのような作品を制作しているのである。
しかしセルフ・パロディとは言え、さすがに10年以上も怪奇映画を連発していたユニヴァーサルが自ら制作しているだけはあって、それぞれの主役達の見せ場も十分にあり、怪奇映画を愛する者もそれなりに楽しめる作品である。ただ、ドラキュラやフランケンシュタインの怪物、狼男といったユニヴァーサル・ホラーの主役達がコメディアンと絡んでしまうというのは、当時のユニヴァーサル・ホラーが終息に向かっていたことを本家自らが認めたことでもあり、少々複雑な心境になることも事実である。
まあ、単純にコメディ映画としてのクオリティも十分に保っているし、何よりも映画でルゴシのドラキュラ伯爵を見ることができるのは、『魔人ドラキュラ』(1931)と本作品の何とたったの2作品だけなのである。ここは一つ怪奇映画の変化球として楽しむのが良いだろう。
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