Tower of London (1962)
Director:ロジャー・コーマン
Cast:ヴィンセント・プライス / マイケル・ペイト / ジョーン・フリーマン / ロバート・ブラウン
Production Company:アドミラル
シェイクスピアが戯曲『リチャード3世』として描いた事でも有名な、15世紀の英国王室でランカスター家とヨーク家が王権を巡って争った史実を怪奇映画風に描いた作品。怪奇映画としての映画化作品では過去にユニヴァーサルが製作した1939年版も存在するが、この39年版では若き日のヴィンセント・プライスがクラレンス公ジョージ役として出演もしていた。
かねてから王位略奪の野望を抱くグロスター公リチャードは、実兄のエドワード4世に死が迫っているのを知り、次なる王位継承権を持つ次兄クラレンス公ジョージを殺害する。続いてエドワード4世の死後、エドワードの跡継ぎである二人の王子をロンドン塔に幽閉。王位継承の邪魔者となる自らの血筋を全て消し去ったリチャードは、念願の王位に就くのであったが・・・。
シェイクスピアもコーマンの手にかかればB級怪奇映画に早変わり!と言うのはやや言い過ぎかもしれないが、監督ロジャー・コーマン、主演ヴィンセント・プライス、とくればAIPで量産された一連のポオ・シリーズを連想させるというものである。実際のところ、死者達の幻影に怯えるプライスの演技は、ポオ・シリーズで見せた神経症の演技を強く思い起こさせるものであり、正直目新しさというものは感じられない。
また、山場となるリチャードの最期の戦いであるボズワースの戦いも、コーマンお得意の低予算早撮り手法によって、迫力に欠けるお粗末な雰囲気が漂ってしまっている。いかに私が怪奇幻想を好むとは言え、本作がB級映画であることは否めない。コーマンとプライスの組み合わせに思わずニヤリとしてしまうような、好事家向けの佳作。
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