La Cripta E L'incubo (1964)

Director:カミロ・マストロチンクエ
Cast:クリストファー・リー / アドリアーナ・アンベシー / アーシュラ・デイビス / カルラ・カロ
Production Company:MECチネマトグラフィカ
シェリダン・レ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』を原作とした、イタリア・スペイン合作の女吸血鬼映画。普段は吸血鬼側を演ずることの多い、クリストファー・リーが人間であるカルンシュタイン伯爵を演じているのは一興ではあるが、『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)におけるピーター・カッシングほどには活躍シーンがないのが何とも残念。
当サイトを訪れる方であれば既に原作は熟知していることと思うが、原作既読者からすると本作『女ヴァンパイア カーミラ』(1964)はゴシックムード溢れるモノクロの映像が怪奇趣味をくすぐりはするものの、同時代のハマーの諸作品と比較するとテンポも遅く、役名を変更している点以外に目新しい所もなく、前半はやや退屈に映ることであろう。しかし、鳴りやまぬ鐘の音をきっかけに物語が動き出す後半からは一気におどろおどろしくなり、いかにも怪奇映画といった趣が楽しめる。
特に、白い寝間着をはためかせながら手を取り夜道を進む二人の少女のシーンは、ジャン・ローランのような安直なエロティシズムもなく、幻想的かつ耽美的で非常に良い。当時のイタリア映画が既に刺激的な描写を行っていた中にあって、この抑えめで正統派な演出は異色であり、本作の評判をうけカミロ・マストロチンクエはバーバラ・スティールを主演にした『悪魔のための天使』(1966)の監督も務めている。
とは言え、全体としてはやや単調な出来栄えと言わざるを得ず、日本公開もされずマニアの間で話題となることもなくひっそりと歴史に埋もれて行った佳作ではある。クリストファー・リーが出演しているカーミラもの、という点に価値を見出すことのできる方にはおすすめ。
