Dr.Terror's House of Horrors (1965)
Director:フレディ・フランシス
Cast:ピーター・カッシング / クリストファー・リー / ドナルド・サザーランド / マイケル・ガフ
Production Company:アミカス
イギリスのハマー・フィルムがピーター・カッシングとクリストファー・リーを主軸に、怪奇映画を量産し成功を収めていた一方で、ハマーに続けとばかりに怪奇映画路線に倣ったプロダクションがある。それこそが本作『テラー博士の恐怖』(1965)を皮切りに主にオムニバス・ホラーの分野で成功を収めたアミカスである。本作はそんなアミカスがカッシングとリーを主演に迎えて制作したオムニバス・ホラーの記念すべき第1作品目にあたる。
5人の男達が乗り合わせた同じ列車のコパートメントに、シュレック博士と名乗る男が乗り込んでくる。博士は未来を占うことができると言い、タロットカードで5人の男達の不吉な未来を占い出すのであった。
カッシング演ずるシュレック博士を狂言回しに、乗り合わせた5人の男達のエピソードがオムニバス形式で展開される。建築家であるジムが地下室で発見した狼人間の棺。ビルの家の壁に生えた食人植物。ヴードゥー教の音楽を盗んだビフに降りかかる呪い。美術評論家マーシュが車で引いた画家の右手による復讐。医者のボブの妻が吸血鬼となるエピソード。と、かなりバラエティに富んだストーリー構成である。
しかしアミカスのオムニバスの大半は5話構成を主とし、時間的制約から各話はショート・ショート的なものとなりがちで、本作を含めアミカス作品はやや小粒な印象を免れることはできない。本作では個人的にはリー演ずる美術評論家のエピソードがオチの皮肉も利いており一番の出来栄えと感じるが、それもやはり小粒ではある。
ハマーとは異なった戦略で怪奇幻想の世界に切り込んだアミカス・プロダクション。小粋なストーリーの中に詰め込まれた幻想と怪奇風味を「山椒は小粒でピリリと辛い」と、是非とも楽しんで頂きたい。
amazonでこの映画を検索