The Skull (1965)
Director:フレディ・フランシス
Cast:ピーター・カッシング / クリストファー・リー / ナイジェル・グリーン / マイケル・ガフ
Production Company:アミカス
ロバート・ブロックの短編小説「サド侯爵の髑髏」を原作とした、アミカスの長編作品。ピーター・カッシング、クリストファー・リー、さらにはマイケル・ガフと豪華出演陣ではあるが、出演者達の演技力だけに頼った低調な作品である。
悪魔や魔術に関する物のコレクターであるメイトランド教授は、いわくつきの品々を取り扱う古物商マルコからマルキ・ド・サドのがい骨を買わないかと話を持ち掛けられる。同好の士であるフィリップス卿はそれは間違いなく本物であるが、悪魔が憑りついており関わらない方が良いと彼に警告をする。しかし、メイトランド教授はがい骨の魔力に吸い寄せられるかのようにマルコの家を訪れ、マルコが何者かに喉を嚙み千切られ死亡しているのを発見し、がい骨を盗み出してしまうのであった。
元がショート・ショートのような短編小説であるため、無理矢理長編映画にしている感はどうしても否めない。髑髏が眺めているかのような眼孔越しのカメラアングルは一見ユニークではあるものの、何度も繰り返されるため逆に単調さを感じさせる結果となってしまっている。また肝心のがい骨が襲い掛かるシーンはピアノ線が丸見えでふわふわと漂ってくるため、恐怖よりも微笑ましさが勝ってしまう。やはり本作はアミカスお得意のオムニバスの一話として製作されるべきだったのではないだろうか。
なお、カッシングが虫眼鏡でがい骨を観察し片目がレンズで大写しとなっている本作の印象的なスチール写真は、後にZAZの『トップ・シークレット』(1984)でカッシング本人によるパロディが披露されている。カッシング・ファンは合わせてそちらも押さえておきたい。
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