Countess Dracula (1971)
Director:ピーター・サスディ
Cast:イングリッド・ピット / ナイジェル・グリーン / レスリー=アン・ダウン / サンダー・エリス
Production Company:ハマー
前年の『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)で一躍女性怪奇俳優としての地位を確立したイングリッド・ピットが、血の伯爵夫人として歴史にその名を刻むバートリ・エルジェーベトに扮するハマーのエロティック路線作品。前作に引き続き、イングリッド・ピットがその美しい肢体を再び披露している。
17世紀のハンガリー。夫の葬儀に参列した若きイムレ中尉に好意を抱いた伯爵夫人は、ある日偶然に侍女の血を浴びたことで、肌が若返ることを知る。そして、血を全身に浴びることで若く美しい姿を取り戻した伯爵夫人は、間もなく帰郷予定であった自らの娘イロナを監禁し、イロナに成りすますことでイムレ中尉を誘惑する。しかし、血の効果は長く続かず、夫人は自らの欲望のため次々と若い女性を手にかけていくのであった。
『バンパイア・ラヴァーズ』では24歳という設定のカーミラを33歳のピットが演じたことで、多少の違和感というか、異様な艶めかしさが濃厚に漂っていたが、本作は老年の夫人が若返るという設定のため、彼女の年齢的な違和感が少ないのが特徴。むしろ、その妖艶な艶めかしさが、悪魔の所業によって若返ったという説得力を持たせることに成功している。
また、本作はハマー作品としては非常にセットや衣装が豪華なのも特徴であり、それはアカデミー衣装デザイン賞を受賞した『1000日のアン』(1969)のそれを流用したからだと言われている。しかし、コマ単位で比較しても、確かに、セットの一部を改造して流用しているのではないか、と思わせる部分は散見されるものの、明確に「流用」したと言い切ることができたシーンはほぼないのが事実である。ハマーの美術、衣装スタッフの職人気質がそのまま流用することをよしとしなかった、ハマーの素晴らしさを垣間見ることができるエピソードと言えるのではないだろうか。
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