The Legend of Hell House (1973)
Director:ジョン・ハフ
Cast:パメラ・フランクリン / ロディ・マクドウォール / クライブ・レビル / ゲイル・ハニカット
Production Company:アカデミー・ピクチャーズ
サミュエル・Z・アーコフと共にAIPを創立したジェームズ・H・ニコルソンが、AIP退社後に製作した『たたり』(1963)と並ぶ幽霊屋敷ものの傑作。イギリスからハマー・プロの色彩校正スタッフが招かれ、ハマー・カラーと呼ばれる独特の色彩が再現されているのがマニアにはたまらない。
物理学者のバレット博士は死後の世界に興味を持つ億万長者の依頼により、悪霊が棲みついているという噂のベラスコ邸の調査を開始する。調査に臨むは彼とその妻、霊媒師のフロレンス、そして20年前の調査隊の唯一の生存者であるベンの4名。次々と不可解な超常現象が起こる中、一行はベラスコの息子ダニエルと思われる遺体を発見するが、やがて一行にベラスコの祟りが降りかかる。
オカルト映画でありながらも、ドキュメンタリー的に日付が挿入される演出や、バレット博士が科学的に霊の存在を実証しようと試みる展開は、我々の日常的で現実的な世界から徐々に非現実の世界へと引き込まれていく楽しさに満ち満ちている。そして何よりも舞台となるべラスコ邸の圧倒的な存在感の素晴らしさ!ローアングルから見上げるベラスコ邸が放つ異様な緊張感と有無を言わさぬその圧迫感は、本作に十分すぎるほどのリアリティーを与えるのに成功している。
しかし、本作の衝撃のラストは賛否両論大きく分かれる非常に微妙なものである。私個人としてはそれまでの張り詰めた緊張感が素晴らしかっただけに、衝撃の顛末に大きく肩を落とした。ベラスコの霊が屋敷に取り付いたその理由・・・それが明示的に描かれたことは賞賛に値するが、その理由が何とも情けない。敢えてここでは明かさないことにするが、このラストは観る人によって大きく評価が分かれること請け合いである。未見の方は是非ともその意外な顛末を御自身の目で確認してみて欲しい。なお、クレジットはされていないが、ベラスコ役としてマイケル・ガフが出演している。
amazonでこの映画を検索