The Satanic Rites of Dracula (1973)
Director:アラン・ギブソン
Cast:クリストファー・リー / ピーター・カッシング / マイケル・コールズ / ジョアンナ・ラムレイ
Production Company:ハマー
ハマー・フィルムが制作したクリストファー・リー主演ドラキュラ・シリーズ第7作目にしてリーがドラキュラを演じた最終作。ドラキュラ映画におけるリーとカッシングの最後の共演作ではあるものの、前作『ドラキュラ'72』(1972)を遥かに凌ぐ駄作っぷりは並大抵ではなく、リーがこれを最後にドラキュラ役を降板してしまったのも頷ける。
英国諜報部は各界の大物の身辺調査を行っている内に、彼らが怪しげな悪魔崇拝の儀式を行っていることを突き止める。諜報部の頼みにより調査に加わったヴァン・ヘルシング教授は、そこで新種のペスト菌が開発されていることを知る。その背後にドラキュラ伯爵の存在を嗅ぎ取ったヘルシング教授は、再びドラキュラとの戦いを決意するのであった。
前作『ドラキュラ'72』で現代の街並みとドラキュラの相性の悪さを露呈したにも関わらず、再び舞台は現代。しかも悪いことに007を意識したかのようなスパイ映画風な味付けには、最早往年のハマーの栄光のかけらも見られない。明らかに低予算であることが明白な演出はスパイ映画としても魅力に乏しく、そんな中マントを翻し現れるドラキュラ伯爵の違和感も尋常ではない。
初作『吸血鬼ドラキュラ』(1958)と比べ年齢を重ねたリーのドラキュラはより魅力を増しているが、肝心の作品の内容が怪奇映画としてもスパイ映画としても魅力がないのではどうしようもない。ドラキュラの最期も余りに安易で腰砕けであり、間違いなくリーが主演したドラキュラ映画の中で最もレベルの低い駄作と言える。リーの雄姿だけで満足できる私のような方以外は観るべからず。
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