The Company of Wolves (1984)
Director:ニール・ジョーダン
Cast:アンジェラ・ランズベリー / サラ・パターソン / テレンス・スタンプ / ダニエル・ダックス
Production Company:ITC
グリム童話の「赤頭巾ちゃん」をモチーフに、夢とも現実ともつかない幻想世界が展開されるダーク・ファンタジー。少女から大人へと変わりゆく思春期特有の異性に対する憧れと恐怖、大人になることに対する不定形な不安感といったものが美しい映像とグロテスクな想像力でイマジネーション豊かに織り成される作品。
そもそもが夢の中の物語として制作されているため、物語全体を通しての整合性や理性的な展開といったものを本作に求めるのは間違っている。本作はいかにこの悪夢的な幻想の世界観の中に溶け込んでいけるかどうか、ロザリーンと共に不条理で不安定な世界を歩むことができるかが全てである。それ故に、『狼の血族』(1984)は観る者を極めて選ぶ作品と言えるかもしれない。
主役のロザリーンを演ずるサラ・パターソンは当時13歳。あどけなさと艶かしさが混在する外見を買われて主役に抜擢されたものの、演技力はさして高くなく、その後の活躍は見られない。一方のおばあちゃんを演ずるアンジェラ・ランズベリーは、人気TVシリーズ「ジェシカおばさんの事件簿」でも知られる大ベテラン。流石に安定した存在感を発揮している。また、公開当時音楽雑誌でも話題になったので御存知の方も多いとは思うが、終盤に登場する狼女を演ずるのは、当サイトでも取り上げている個性派アーティスト、ダニエル・ダックスである。
是非とも思春期のうちに触れておきたい、幻想的な悪夢の世界。大人に成り切れない、幻想世界の住人達へと送る珠玉の悪夢のファンタジーである。
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