Flowers in the Attic (1987)
Director:ジェフリー・ブルーム
Cast:ヴィクトリア・テナント / クリスティ・スワンソン / ルイーズ・フレッチャー / ジェブ・スチュアート・アダムス
Production Company:フリーズ・エンタテインメント
V・C・アンドリュースの同名小説の映画化作品。背徳的で病的なゴシック・ファンタジーの物語。近親相姦、児童虐待という重く苦しいテーマを主題に据えた物語に、何ともやるせなく心が締め付けられる。観終わった後には心にずっしりと重いものがのしかかったような、後味の悪さが残る作品である。
クリスとキャシー、双子のキャリーとコーリーの四兄妹は、美しい母親とハンサムで優しい父親に愛され幸せな生活を送っていた。そんなある日、父親の交通事故死により生活は一変、一家は住んでいた家を売り払い資産家である母親の実家に身を寄せることになる。しかし、母親であるコリーンは17年前、叔父と駆け落ち、そして結婚、出産という許されざる近親相姦によって実家から縁を切られていた。祖母はコリーンを許しておらず、四兄妹は鉄格子の嵌められた屋根裏部屋へと監禁されてしまう。祖父の許しを得るまでの間の我慢だという母親の言葉を信じる子供達であったが。
徐々に屋根裏部屋へ訪れなくなり様子が変わっていく母親のさまや、無邪気であった幼い双子達が食事を絶たれ徐々に衰弱していくさま等、閉鎖的な空間の中で淡々と描かれる残酷な物語が恐ろしい。あまりに病的なその内容は、よくもまあこんな物語を思いつくものだ、と原作者V・C・アンドリュースの想像力そのものへの恐怖を感じさせるほどである。
しかし本作が恐ろしいのは、実は映画版は原作よりも大分マイルドとなっているという点にある。本作で子供達が監禁されるのは数ヶ月だが、原作では何と3年5ヶ月に渡るものとなる。さらに、その間に成長をしたクリスとキャシーは、近親相姦の関係となってしまう。また、ラストの展開は映画版のオリジナルであり、原作ではそれすらもない。原作は映画版を凌駕する、どこにも救いのない、ただただ辛く悲しい物語である。どんよりしたい方は是非原作と合わせて観て頂きたい。
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