The Curse of La Llorona (2019)
Director:マイケル・チャベス
Cast:リンダ・カーデリーニ / レイモンド・クルス / マリソル・ラミレス / トニー・アメンドーラ
Production Company:ニュー・ライン・シネマ
死霊館シリーズ第6作目。2作目『アナベル 死霊館の人形』(2014)のペレス神父が登場し、死霊館シリーズと繋がった世界であることが示されてはいるものの、事実上物語は独立した内容となっている。主題となるラ・ヨローナ(ラ・ジョローナと表記されることもある)とは、メキシコを中心とした中南米に広く伝わる民間伝承であり、日本の姑獲鳥にも似た子供をさらう女の悪霊である。
1973年のロサンゼルス。夫を亡くしソーシャルワーカーとして働きながら女手一つで二人の子供を育てるアンナは、担当する一家の母親から児童虐待の疑いで子供達を保護する。しかしその夜、子供達は水死体として発見される。子供を失った母親は事件はラ・ヨローナの仕業であり、自分は子供達を悪霊から守ろうとしていただけだとアンナに訴える。やがて、アンナの周辺にも白いドレスを着た女の霊が現れだす。
流石にシリーズ6作目ともなるとマンネリ化を避けるためか、本作はそれまでの死霊館シリーズとは大いに方向性を変えている。まず第一に、シリーズ最大の特徴であった工夫を凝らした恐怖演出を丁寧に積み重ねる構成ではなく、ストレートで単純なジェットコースター型の怖がらせ方へと大きく舵を切っている。その結果として死霊館らしさは失われ、いかにもホラー映画然とした作りとなっている。
次に、それまでのシリーズが一貫してキリスト教対悪魔という構図であったのに対して、本作は呪術師対悪霊と大きく対立構図を変更している。これによって、それまでとは一風変わった土俗的な儀式シーンが描かれることになり、新鮮な効果をもたらしている。呪術師のラファエルも、真面目な顔で時折おどけてみせる良いキャラクターであるため、ここからのスピンオフは十分な可能性を感じさせる。
しかし好みの問題もあろうが、肝心のラ・ヨローナに私はあまり魅力を感じないのである。個人的に泣き女はもっと華奢な体格をしていて欲しかった。体格の良いラ・ヨローナはあまりにモンスター的に過ぎ、民間伝承の悲劇的側面が希薄である。加えてジェットコースター型の演出がそれに拍車をかける。結果として、本作はそこまで悪い映画ではないのであるが、残念ながら私にとっては退屈な作品であった。
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