ビッグ・エレクトリック・キャット
Big Electric Catは1991年にオーストラリアで結成されたゴシック・バンドである。そのバンド名はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』とその映画化作品である『ブレード・ランナー』(1982)に影響を受け、名づけられている。
当初Big Electric Catは5人のメンバーからなるバンドであったものの、ドラマーの脱退に伴いドラムマシーンを導入。The Sisters of MercyのDr. Avalancheよろしく「Dr. Ruth」と名付け、バンドサウンドもサイケデリックなゴシック・サウンドへと舵を切った。その後彼らは、90年代のゴシック・シーンを牽引したクレオパトラと契約したことで、世界的な知名度を得ることに成功する。
クレオパトラからアルバムをリリースし、ドラムマシーンに名前をつけているとなると、どうしてもシスターズ・フォロワーかという先入観を持ってしまいがちではあるが、Big Electric Catは決してThe Sisters of Mercy的なサウンドではない。むしろ、彼らはThe CureやThe Mission的なある種のポップ性とメロディアスさを持っており、実際ファースト・アルバムの『Dreams Of A Mad King』の中で好意的に受けとめられヒットした楽曲はそういった方向性のものであった。
Christian Deathらとの全米ツアーを終え、オーストラリアに帰国した彼らであったが、その後紅一点であったキーボードのデボラが脱退。残ったポールとデヴィッドの二人はセカンド・アルバムとなる『Eyelash』を1997年にリリースする。時代の流れか、前作よりもデジタル色を強めた内容ではあったものの、Rosetta Stoneほどそれが効果的ではなく、むしろ逆に彼らのポップ性を奪ってしまう結果となったように私には感じられた。今でも80年代、90年代のゴシック・バンドを大量に詰め込んだコンピレーションで彼らの名前を見かけることは稀にあるが、残念ながら振り返られることが少なくなってしまったバンドである。
Discography (Album)
Released 1994
01.Christabel / 02.Red Roses / 03.Sapphire / 04.Orchid Dreaming / 05.Paris Skyes / 06.Winter Room / 07.Bed Of Nails / 08.Twisting Man / 09.Rebecca / 10.Instro
Released 1995
Red Roses (Black Vine Mix) / 02.Sapphire (Jewel Edit Mix) / 03.Paris Skyes (Grauesubstanz Mix) / 04.Christabel (Innocence Mix) / 05.Twisting Man (Brain Pan Mix) / 06.Red Roses (Death Method Mix) / 07.Paris Skyes (BEC versus THE MACHINE)
Released 1997
01.My Last Breath / 02.Splinters / 03.Black Water / 04.Secret Desire / 05.Eyelash / 06.Hallucinations / 07.Blind / 08.Crash / 09.Transience