Die Laughingは女性ヴォーカルを配したイギリスの90年代ゴシック・バンドである。All about Eveのジュリアンヌ・リーガンを強く想起させるレイチェル・スペイトの優しく柔らかい声質に耽美的なサウンドを組み合わせたその嗜好性は、まさにゴシック色を強めたAll about Eveそのものと言える。
彼らのセカンド・アルバムである『Heaven In Decline』は国内盤も発売されたものの、その際帯に記載されていたのは「メタル」という言葉であった。楽曲名もメタル特有の「邦題」が付けられ、ゴシック・バンドのアルバムとは思えぬ様相を呈していた。これには当時隆盛を見せていたゴシック・メタルの一派として紹介することで売上を高める思惑があったのであろうが、そのことが結果として真のゴシック愛好者達から彼らを遠ざけてしまった一因となったのではないかと私は思う。
また、今となっては我が日本には滅多に情報の入ってこないこのジャンルにおいて、数少ない機会で目にする度にヴォーカルのレイチェルが幅と厚みを増していったのも彼らがAll about Eveほどの支持を得られなかった一因と密かに私は思っている。やはり歌姫は美しくあって欲しいものである。