ソドム

日本の80年代半ばのインディーズ・シーンを代表する存在であるSodomは音楽性の変遷の激しいバンドである。1982年に結成されたSodomは、初期はハードコア・パンクであったものの、やがてインダストリアル色の強いポジティブ・パンク期を経て、そのサウンドはやがてハウスへと変化した。
今となってはSodomはハウスの分野で知られる福富幸宏が在籍したバンド、という肩書きで見かけることも多い。しかし、当時はヴォーカルのザジのアイドル張りのルックスによる女性人気ばかりが先行し、所属していたトランス・レコードの追っかけである「トランス・ギャルズ」なる言葉が生み出される中でも飛び抜けた人気を誇っていた。
さて、当サイトとしてSodomを取り上げるのは第二期のポジティブ・パンク期があるからに他ならない。ハウス・サウンドへと変遷した後にSodomはメジャー・デビューも果たしているが、正直ハウス期のSodomは私の音楽的な守備範囲を大きく飛び越えてしまっていた。その一方でポジティブ・パンク期のSodomは、インダストリアル色の強い変則的リズムにザジのひねり出す唸り声のようなヴォーカルというインパクトの強い個性的なスタイルを特徴とする。しかし、そのサウンドはThe Birthday PartyやEinstürzende Neubautenの影響がかなり色濃く見られるものであるのも、また事実である。
私としては、Sodomは86年発表の12inchシングル「Material Flower」を頂点としていると思う。ハウス期の予感を漂わせながらも、硬質なメタルビートにザジの低音ヴォーカルがのったこの曲は、間違いなくソドムの最高傑作である。今やSodomは振り返られることの少ないバンドであるが、この「Material Flower」とセカンド・アルバムの『TV Murder』は80年代日本のポジティブ・パンク、ニュー・ウェーブの一角を成すものであることは確かである。それだけに後期のハウスへの移行は非常に残念と言えよう。
Discography (Album)

Released 1984
01.ソドムズム / 02.スペルマ爆弾 / 03.L.S.D / 04.自殺 / 05.パブリック / 06.カンゴフK / 07.夜姦菌孤 / 08.ソナタ / 09.聖レクイエム / 10.Wild Fire / 11.Neo Psychick / 12.Night Burning / 13.Dung / 14.Chrome / 15.Kid Napper / 16.Frog / 17.Construct / 18.Pizz / 19.A-Flat / 20.Lust ! / 21.Mouse To Mouth / 22.Vanish / 23.Acoustic Birds / 24.Rock Out / 25.Terminal Point / 26.Over Lap





