Black Friday (1940)
Director:アーサー・ルービン
Cast:ボリス・カーロフ / ベラ・ルゴシ / スタンリー・リッジス / アン・ネイジェル
Production Company:ユニヴァーサル
やられた。ユニヴァーサルでカーロフとルゴシの共演作ということでよく調べもせずに怪奇映画だとばかり思って観たところ、本作は怪奇映画ではなく、脳移植の結果引き起こされるサスペンスを描いたギャング風スリラー映画であった。しかも、残念なことに本作でカーロフとルゴシが同一のシーンで演ずることはない。
刑務所でアーネスト医師の死刑が執行される。死刑執行の直前に新聞記者へと手渡された彼の手記には恐るべき事の顛末が記されていた。大学で文学の教鞭を振るうキングスレー教授とその友人であるアーネスト医師は、街で偶然ギャングの抗争に巻き込まれ、キングスレー教授は重症を負ってしまう。ギャングの抗争の原因がギャングのレッドの隠した大金にあったことを知ったアーネストは、レッドとキングスレーの脳を入れ替える手術を行い、教授は助かったように見えたのであったが。
当初の段階では、ルゴシがアーネスト医師を、カーロフがキングスレー教授を演ずる予定となっていたらしい。しかし理由は定かではないが、最終的にカーロフはアーネスト医師を、ルゴシはギャングの腹心の一人という、極めて小さい役へと変更され映画は完成する。
怪奇幻想の愛好家としては上記の配役変更は残念でならないが、結果的にはキングスレー教授を演じたスタンリー・リッジスの好演によって作品は中々楽しめるものとなっている。表情や喋り口調、髪型や立振舞といった殆ど演技力のみで、脳の主導権を握ってる人物がキングスレー教授なのかレッドなのかを演じ分けたスタンリー・リッジスの演技力は素晴らしい。その様はまるで別人である。しかしもし、これを予定通りカーロフが演じていたならば、一体どんな演技を見せただろうか。まことに配役変更が惜しまれてならない作品である。
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