Creature from the Black Lagoon (1954)
Director:ジャック・アーノルド
Cast:リチャード・カールソン / ジュリア・アダムス / リチャード・デニング / ウィット・ビセル
Production Company:ユニヴァーサル
怪奇映画のユニヴァーサルも50年代になると流石にその勢いを失い、時代は怪奇映画からSF映画へとその主流を移していくのであるが、その50年代にあって一際異彩を放つ映画が本作『大アマゾンの半魚人』(1954)である。
本作の半魚人はフランケンシュタインの怪物と並び、ユニヴァーサル・モンスターを代表する存在であり、その卓越したデザインにより、時代に色褪せることなく現代でも高い人気を誇っている。水中での撮影を前提としているにも関わらずのそのスマートな造形は、女性デザイナー、ミリセント・パトリックの手によるものであり、全身を鱗に覆われたグロテスクでありながらも美しいそのデザインは見る者を惹き付けてやまぬ、魅力を放っている。
そして、本作の異彩を際立たせているのがそのデザインに留まらない半魚人の圧倒的な存在感である。ボンベを不用とし、そのスマートなデザインを可能としたのは、水中シーンでの半魚人を演じた素潜りの達人リコウ・ブロウニングあってのこと。水中での半魚人の自在な動きは半魚人が実在するかのような存在感を与え、本作が水中で撮影されていることを忘れさせる程の迫力を持っている。
本作品のテーマは『キング・コング』(1933)に代表されるいわゆるロスト・ワールドものではあるが、怪奇映画の手法で描かれた半魚人は人間と同じ等身大でありながらも決してキング・コングに引けを取ることのない存在感を持っている。怪奇映画のユニヴァーサルの最後の輝きとも言える50年代の傑作であり、ユニヴァーサル・モンスターの魅力に酔いしれる事のできる作品。
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