The Invisible Ray (1936)
Director:ランバート・ヒルヤー
Cast:ボリス・カーロフ / ベラ・ルゴシ / フランセス・ドレイク / フランク・ロートン
Production Company:ユニヴァーサル
『黒猫』(1934)、『大鴉』(1935)に続く、ルゴシとカーロフのユニヴァーサル共演第3作目。意図してか、意図せずしてかは不明だが、ルゴシとカーロフの演ずる役柄の善悪の立場が『黒猫』、『大鴉』、そして本作と交互に入れ替わっている点は何とも面白い。
太古の昔にアフリカへ落下したラジウムよりも強い力を持った隕石を調査していたルーク博士ら一行は、苦労の末に隕石の所在を発見する。しかし、調査の段階でルーク博士は隕石の持つラジウムXに侵され、触れた者を死に至らしめ暗闇で発光する体となってしまう。同行したベネ博士が調合した解毒剤で症状は一時的に解消するも、解毒剤は毎日打つ必要があるという。悲嘆にくれるルーク博士。そんな最中、あろうことか妻は調査団のロナルドと恋に落ち、更にはラジウムXの発見を自身に先駆け調査団に発表されてしまい、ルーク博士は復讐を心に誓うのであった。
マッド・サイエンティストや悪役を演ずることが多いルゴシのキャリアの中にあって、本作『透明光線』(1936)でルゴシが演ずるベネ博士は珍しく善良かつ、威厳ある研究者役。背筋を伸ばし威風堂々と立ち振る舞うルゴシを観ることができるのは、この上なく嬉しいものである。
だが、排除される怪物側に感情移入して怪奇映画を観る私にとって、カーロフ演ずるルーク博士の復讐が完遂されぬ本作の結末は何とも後味が悪い。少なくともルーク博士を裏切った妻ダイアナだけは、無惨な最期を遂げて欲しかった、と願うのは私がひねくれ過ぎなだけであろうか。
なお、冒頭で登場するルーク博士の研究所である古城のセットは『女ドラキュラ』(1936)へと流用され、6聖人の像が立つ教会のセットは、『ノートルダムの傴僂男』(1923)で建てられたセットを流用して撮影されている。
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