The Mummy's Tomb (1942)
Director:ハロルド・ヤング
Cast:ロン・チャニー・Jr. / ディック・フォラン / ウォーレス・フォード / ジョージ・ズッコ
Production Company:ユニヴァーサル
ユニヴァーサル・ミイラ・シリーズの第3作目にして、前作『ミイラの復活』(1940)から直接繋がるその続編にあたる作品。本作からミイラ男カリスを演じるのはロン・チャニー・Jr.となり、以降のシリーズは全てロン・チャニー・Jr.がカリスを演じた。
アナンカ王女の墓を発掘していたスティーブら調査隊一行の恐るべき体験から30年後、スティーブはマサチューセッツで結婚を控えた息子達家族と共に平和に暮らしていた。しかし、カイロでは高僧アンドヘブが再びカリスを操り、アナンカ王女の墓を暴こうとした一行の生存者達に対して恐るべき復讐を再開しようとしていたのであった・・・。
前作のフィルムを回想という形でそのまま使い回し、約2週間で撮影された低予算映画。前作から30年後という設定にも関わらず時代が1970年代風ではない(制作年を考えれば当然ではあるが)、何故30年も経って今さら復讐を再開するのか、エジプトの年老いた高僧アンドへブは前作で墓守に意思を託し死んだにも関わらず、何故再び生きて登場しているのか、片手を吊り片足を引きずるミイラ男がいとも簡単に垂直の梯子を登れるのは何故か等、本作は脚本上の矛盾を多く孕む何ともいい加減な作品である。カリスを演じたロン・チャニー・Jr.自身もミイラ男は気に入っていなかったようで、後に「ただメイクを施され包帯に巻かれ、足を引きずって歩き回るだけで良かった。狼男を演じる方がずっと好きだったね。」と語っている。
ミイラのメイクは時間短縮のためにラバー製のマスクへと変更となり、チャニー・Jr.のでっぷりとした体型はそれなりに迫力があるものの、見るべき点がミイラ男のさまだけしかない、というのは何ともお粗末と言わざるを得ない。こうして、ベラ・ルゴシやボリス・カーロフらの偉大なる怪奇俳優を排出し、芸術性の高かった30年代ユニヴァーサルの黄金時代は衰退していくのであった。
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