Bluebeard (1944)
Director:エドガー・G・ウルマー
Cast:ジョン・キャラダイン / ジーン・パーカー / ニルス・アスター / ルドウィグ・ストッセル
Production Company:PRC
ジル・ド・レイをモデルとしたいわゆる「青ひげ公」を描いた作品ではなく、女性連続殺人鬼がその「青ひげ」を連想させるが故に「青ひげ」と呼ばれる、というサスペンス風の怪奇映画。
19世紀パリ。世間では「青ひげ」と呼ばれる女性ばかりを狙う殺人事件が頻発していた。そんな中、仕立屋のルシールは公園で人形遣いのモレールという男と知り合い、彼の人形劇オペラ「ファウスト」を観に行く。しかし、モレールこそは警察が追う「青ひげ」その人であり、才能ある画家だった彼は肖像画を描いた女性を絞殺せずにはいられぬ性癖の持ち主なのであった。やがて、「青ひげ」の被害者達が皆肖像画を描かれていることに気付いた警察は、おとり捜査をモレールにしかけるのであった。
ユニヴァーサルでのドラキュラ役のイメージもあって、私の中でのキャラダインはキザな二枚目ではあるものの、やや面長で弱っちい小物という印象が非常に強かった。しかし、なかなかどうして、本作でのキャラダインは立派な怪奇俳優であることに驚かされる。目を強く大きく見開いて相手に迫り絞殺する演技などは、ベラ・ルゴシが得意とした眼力での演技にも通ずるものがある。
エドガー・G・ウルマーの演出も、彼の監督初作品であった『黒猫』(1934)と比べると流石に安定感を見せるようになっており、「ファウスト」の人形劇や『オペラの怪人』(1925)のような地下水路といった、いかにも怪奇映画らしい要素を散りばめ雰囲気を盛り上げている。キャラダインと言えば、弱いドラキュラだろう!といった私のようなイメージを持っている人こそに観て欲しい、キャラダインの代表作と言っても過言ではない佳作。
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