The Curse of the Cat People (1944)
Director:ロバート・ワイズ / グンター・フォン・フリッチ
Cast:シモーヌ・シモン / ケント・スミス / ジェーン・ランドルフ / アン・カーター
Production Company:RKO
RKOヴァル・リュートンの出世作となった『キャット・ピープル』(1942)の後日談にあたる作品。監督は当初グンター・フォン・フリッチが起用されていたが降板となり、途中からロバート・ワイズが交代している。事実上、ロバート・ワイズの監督デビュー作にあたる作品である。
悲しい結末を辿ったイレーナ。その後オリバーとアリスは結婚し、エイミーという名の娘を授かった。しかし、エイミーは空想がちな少女で周囲の子供達とうまく馴染めず、イレーナの末路を知るオリバーはそんなエイミーの空想癖に冷たく接していた。両親の理解も得られず、友達もいない孤独な少女エイミーは、やがて周囲の大人達には見えない「友達」ができる。その「友達」とは、他ならぬイレーナの姿をした女性であった。
本作は怪奇映画ではなく、非常に良く出来た幻想的なファンタジーである。プロデューサーであるヴァル・リュートン自身はタイトルを『エイミーと見えない友達』とすることを強く望んだそうであるが、プロダクションの意向で大ヒットした『キャット・ピ-プル』の続編であるかのような題名となったという。しかし、このタイトル故に怪奇映画であると敬遠され、孤独な少女の心理描写を巧みに描いた本作に世間の目が向けられていないのは非常に残念である。
本作は、撮影の最中で監督を任され、決して万全の状態とは言えない中での監督初作品となったロバート・ワイズの映像が素晴らしい出来栄えである。風に揺らぐカーテンやイレーナの幻影の登場シーン等、台詞に頼ることなく人間の心理状態を雄弁に描き出すカメラアングルや演出は、既にこの頃から傑出した才能がワイズにあったことを随所に伺わせる。エイミーを演ずる子役のアン・カーターの演技も子供とは思えぬ程に素晴らしく、私のサイトのような場所で紹介することを悔しく思う程の名作である。是非とも御一見を。
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