The Fall of the House of Usher (1948)
Director:イヴァン・バーネット
Cast:グウェン・ワトフォード / ケイ・テンデター / アービング・スティーン / ヴァーノン・チャールズ
Production Company:G.I.B.
ポオの「アッシャー家の崩壊」の映画化作品は数あれど、本作は何ともビックリな改変が加えられた、イギリス制作のB級作品である。
何がビックリかと言うと、アッシャー家の当主ロデリックに降りかかっている災厄は呪いであるという点。その呪いは、母親が愛人を作っていたことが父親にばれ、拷問の末に殺害された間男が死の間際に放ったものというのだから何とも低俗。しかもその母親は気がふれてしまっており、殺害された間男の頭部と共に礼拝堂の地下に閉じ込められているのである。
この時点で思わず原作小説を読み返したくなるほど頭の中には疑問符が浮かんでは消え、浮かんでは消えるのだが、物語はさらにおかしな方向へと突き進む。この呪いを解くためには間男の頭部を燃やすしか術はなく、もしそれに失敗すればロデリックの双子の妹マデリンの命が失われるというのである。勿論、ロデリック達は頭部を燃やすことに失敗し、哀れマデリンは息を引き取ってしまう。
この妙な改変は短編である原作を無理矢理長尺にするためだと思われるが、結果として原作が持っていた幽幻的な頽廃の美学は失われ、意味もなく館をうろつく母親の存在の中途半端さが悪目立ちしてしまっている。所々に見られる影を効果的に描き出す照明とカメラアングルが良い効果をあげているだけに、この脚本と編集の不甲斐なさは勿体ない。何とも残念な出来栄えの作品である。
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