House of Dark Shadows (1970)
Director:ダン・カーティス
Cast:ジョナサン・フリッド / グレイソン・ホール / ロジャー・デイヴィス / ジョーン・ベネット
Production Company:ダン・カーティス・プロダクション
1966年から1971年にかけてアメリカのABCで放送されていたTVシリーズ「ダーク・シャドウズ」の劇場版。当初この「ダーク・シャドウズ」は恋愛を主軸とした単なるゴシック・ソープ・オペラであったが、視聴率低迷の打開策として吸血鬼バーナバス・コリンズを登場させたところ、好評となりABCの最も人気のあるソープ・オペラの一つとなったという。
アメリカに住むコリンズ家に、イギリスの遠縁と名乗るバーナバスがやってくる。しかし、このバーナバスこそは200年の眠りから覚めた吸血鬼であり、初代コリンズその人であった。バーナバスはコリンズ家の家庭教師マギーに200年前の婚約者の面影を重ね、200年越しの愛の成就を目論む。
元がソープ・オペラであるためか、復活したバーナバスはとにかく女性陣にモテる。お世辞にも二枚目とは言い難いジョナサン・フリッドに女性陣が片っ端から惹かれていく展開は、どうにも違和感が残る。果たしてこれは吸血鬼のなせるわざなのか、それとも私の美的感覚がおかしいだけなのか。いち早くバーナバスが吸血鬼であると見抜いた年老いた女医までもが魅了されるに至っては、やはり首を捻りたくなってしまう。
また、ジョナサン・フリッドは奇怪な雰囲気を濃厚に漂わせているのは良いのであるが、なで肩でやや首が短いため、ちんちくりんに見えてしまうところもいただけない。
それでも本作はTVシリーズでは描けなかったであろう、吸血鬼への杭打ちシーンや、後に『ハンガー』(1983)でデビッド・ボウイへ驚異の老化メイクを施したディック・スミスによる老化メイクが登場するなど、それなりに見所は多い。吸血鬼映画の亜流として、怪奇映画好きならばおさえておきたい佳作。
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