Horror of Frankenstein (1970)
Director:ジミー・サングスター
Cast:ラルフ・ベイツ / ヴェロニカ・カールソン / ケイト・オマーラ / デヴィッド・プラウズ
Production Company:ハマー
ハマー・フィルムが制作したフランケンシュタイン・シリーズ第6弾。本作品はシリーズの番外編的な存在であり、フランケンシュタイン博士はクランク・イン直前の妻の死により、ピーター・カッシングに替わってラルフ・ベイツが演じている。またその内容は初作『フランケンシュタインの逆襲』(1957)をほぼそのままなぞった、いわゆる「スプーフ(騙し・茶化し)」であり、正統派フランケンシュタイン・シリーズを期待すると必ずや腰砕けとなるため、かなり悪評の高い異色な作品である。
とにかくその異様にいいかげんな展開、妙にだらだらと淡々と進む演出、重要な説明を意識的に(?)飛ばした脚本と、とにかく「ボケっぱなし」のような奇妙な作品である。フランケンシュタインはモラルを超越した科学のために非人道的な行為も行うし、怪物も恐ろしい外見をしてはいる。しかし全く怖くない。しかも笑えない。本作品を見た人は最後まで困惑した状態のままで置き去りにされてしまうのである。例えばフランケンシュタインはたったの一体の創造物を生み出しているにも関わらず、研究室に大量の死体を運び入れそれを並べたりする。「おいおい、そんなにいらないだろ」となるわけでもなく、本作品ではそれが必然のことであるかのようにそのままストーリーは進むのである。
この珍妙な作品はハマーの脚本家として知られるジミー・サングスターが監督をしたものであり、内容が『フランケンシュタインの逆襲』と同一であるため、意識的に演出を変えたらしいのだが、その奇妙で平凡な演出が裏目に出たとしか言いようがない結果となっている。後に彼は「みんないつも笑ってばかりだったよ。それが問題だったのかな。」と振り返っているが、問題はそんなレベルではないようにも思う。
しかし、私は個人的にはこの奇妙な作品が妙に好きだったりする。あまりに安易で質の悪いスプーフには確かに辟易とさせられるが、『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)にも出演していた私好みのクールでキツ目の美女ケイト・オマーラが本作品では全編に渡って出演しているため個人的には見ていて飽きないのである。勿論映画としては本作は駄作以外の何物でもないが、私も人の子、不純な動機で思わず気に入ってしまった作品の一つである。
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