Lust for a Vampire (1971)
Director:ジミー・サングスター
Cast:ユッテ・ステンスガード / ラルフ・ベイツ / バーバラ・ジェフォード / マイケル・ジョンソン
Production Company:ハマー
『バンパイア・ラヴァーズ』(1970)に続きハマー・フィルムが制作したカルンシュタイン三部作の2作目。ドラキュラ・シリーズやフランケンシュタイン・シリーズとは異なり、カルンシュタイン三部作はシェリダン・レ・ファニュの『吸血鬼カーミラ』のカルンシュタイン家を登場させているだけで物語や登場人物に連続性はなく、それぞれ独立した作品であるのが特徴である。
物語は小説家のリチャードが口先巧みに中流の花嫁学校の教師として潜りこむところから始まる。程なくしてミルカーラという美しい娘が花嫁学校に転入してくるが、ミルカーラと同室の女生徒がやがて失踪する。この不審な失踪の真相に、カルンシュタイン家の研究家であった教師のジャイルズが気付くものの、ジャイルズもまた死体となって発見される。
『恐怖の吸血美女』(1971)は前作以上に無意味な裸体の描写を行い、しかもカーミラが男性教師のリチャードと恋に落ち肉体関係の描写まで行った低俗極まりない作品である。リチャードが花嫁学校の教師として潜りこむ冒頭に始まり、カーミラがリチャードと恋に落ちる等という論外な展開、そして村人達が城を焼き落とす直前に突如として現れる司教等、あまりにいい加減で御都合主義的な脚本は観る者を辟易とさせる。途中で挿入される「ストレンジ・ラブ」という珍妙な曲もまたしかりである。公開当時この挿入曲のシーンではスクリーンに物が飛んだという逸話もある程であり、いくら「ハマー・フィルム」の名がついていようとも、やはり駄作であることには変わりはない。
本作品でラルフ・ベイツが演じたジャイルズは当初ピーター・カッシングが演ずる予定であったというが、カッシングの経歴にこの駄作の名が刻まれることがなかったのは幸いであると私は思う。『バンパイア・ラヴァーズ』に比較して女優達が美しく、裸体を惜しげもなく晒し出しているという点以外には全く見るべき点がない作品。
amazonでこの映画を検索