Gli Orrori del Castello di Norimberga (1972)
Director:マリオ・バーヴァ
Cast:ジョセフ・コットン / エルケ・ソマー / マッシモ・ジロッティ / ラーダ・ラシモフ
Production Company:ユーロ・アメリカ
マリオ・バーヴァが『13日の金曜日』シリーズの元となった『血みどろの入江』(1971)の後に、再び正当派ゴシック・ホラーをテーマに監督した晩年の作品。
修士号を取得したクライスト家のピーターが、卒業を機に自身のルーツであるオーストリアへと旅行にやってくる。クライスト家は数百年前に処刑男爵と呼ばれた残虐な男爵を先祖としており、魔女エリザベスの呪いによって葬られたという逸話が語り継がれていたのであった。この伝説に興味を持ったピーターは、遊び半分で男爵を甦らせるという呪文を唱えてしまう。やがて城の周辺で残虐な殺人事件が起こり始める。
本作はレオベンドルフにある実在のクロイツェンシュタイン城等でロケが行われているため、セットではなかなか生み出すことが難しい重厚な雰囲気を随所に感じとる事ができる。しかし、その一方で作品としてはやや低調でイマイチであり、バーヴァ独特の色彩やカメラワークは見られるものの、復活した男爵のメイクが妙に稚拙であったり、折角の螺旋階段でのショックシーンにコカ・コーラの自動販売機が映り込んでおり、そのあまりに観光地的な雰囲気に日常に引き戻されてしまう等のツメの甘さも散見される。
なお、ジョセフ・コットンが演じた役柄は当初ヴィンセント・プライスやレイ・ミランドが予定されていたとのこと。ジョセフ・コットンの演技も観ていて楽しいが、もしもヴィンセント・プライスが演じていたならば、拷問器具の解説シーンは果たしてどのように演じただろうかと、想像しながら観るのも一興である。
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