Psycho II (1983)
Director:リチャード・フランクリン
Cast:アンソニー・パーキンス / ヴェラ・マイルズ / メグ・ティリー / ロバート・ロッジア
Production Company:オーク
ヒッチコックの傑作『サイコ』(1960)から22年を経て製作された続編。原作者であるロバート・ブロックによる同名小説「サイコ2」も存在するが、ハリウッドの映画界を舞台としたスラッシャーであることが敬遠されてか、本作は小説版とは異なりトム・ホランドによるオリジナルの脚本となっている。
ベイツ・モーテルでの惨劇から22年。精神病院に隔離されていたノーマン・ベイツは、マリオンの妹ライラが抗議を続ける中、病が完治したとして釈放され自宅へ帰ってくる。主治医のすすめで近所のレストランで働きだすノーマンであったが、やがて母親からのメモや電話が届くようになり、ノーマンは母親の妄想に怯え始める。果たしてノーマンは再び狂気に支配されているのか、それともそれは彼を陥れる策略なのか。
映画史にその名を刻む傑作の続編と言うこともあり、製作陣のプレッシャーは相当なものがあったと推測されるが、本作はなかなかどうして健闘している。ヒッチコックの熱心なファンであったリチャード・フランクリン監督は、前作のモノクロのマリオン惨殺シーンから物語をはじめ、ヒッチコックばりの凝ったカメラアングルを多用することで世界観を上手に共有することに成功している。アンソニー・パーキンスとヴェラ・マイルズが前作に引き続き登場していることも勿論大きいが、ノーマンがマリオンを泊めたモーテルの1号室の鍵を渡すか迷うくだりや、ライラがマリオンの恋人であったサムと結婚し死別したことをそれとなく話すくだり等も実に心憎い。
前作とはまた違ったサスペンス風味で二重三重の捻りがきいた脚本も、最後まで興味を維持させることに貢献しており、流石にヒッチコックには及ばぬものの、完成度が高い。ヒロインを演ずる若き日のメグ・ティリーも美しく華を添える隠れた良作である。
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