パイディア
Auto-Modを別格とするならば、日本のポジティブ・パンク・シーンにおいてMadame Edwardaと並んで代表的な存在のバンドであったのがPhaidiaである。Specimenを彷彿とさせる白塗りにヒビメイク、「死」や「悪魔」といった呪術的な言葉が頻繁に登場するおどろおどろしい歌詞。どこからどう見てもポジパン。良くも悪くもポジパンといったその存在感は今となっては微笑ましさすらも感じさせる。
YBO2やRuinsにおける活動によってアンダーグラウンドでその名を知られるドラムの吉田達也が在籍したバンドとしてPhaidiaは知られてもいるが、何と言ってもPhaidiaの個性はヴォーカルのGillyにある。その甲高い声で語尾を跳ね上げる歌い方は、人によってはかなり抵抗のある歌い方であるとは思うが、好き嫌いは別としてもその個性は非常に強い。
難解な言葉を紡ぎ上げ幻想の世界に王国を築きあげようとしたAuto-Mod、ボードレールやバタイユの頽廃的な世紀末趣味を漂わせたMadame Edwardaに対してPhaidiaの歌詞の世界観はホラー映画的な点が特徴である。ある意味でPhaidiaはパンクからポスト・パンク、そしてポジティブ・パンクと変遷した音楽シーンの中にあって、記号化した半面、完成されたポジティブ・パンクのイメージを体現するバンドであると言えるかもしれない。
なお、Phaidia解散後にGillyはSex Androidというバンドを結成するが、その音楽性はグラム色が強いものであり、白塗りメイクを落としたGillyの格好はその後にシーンに登場することになるビジュアル系を予感させるものであった。私はPhaidiaよりもこのSex Androidの方が好みなのであるが、それはまた別の機会に譲ることとする。
Discography (Album)
Released 1985
01.Dark Side / 02.邪悪な影 / 03.地下室の悪魔達 / 04.戦略 / 05.闇の時刻 / 06.Darkness Rain / 07.Dead End Love / 08.死神 / 09.Madness Area / 10.あやつり人形