The Hound of the Baskervilles (1959)
Director:テレンス・フィッシャー
Cast:ピーター・カッシング / アンドレ・モレル / クリストファー・リー / マーラ・ランディ
Production Company:ハマー
『フランケンシュタインの逆襲』(1957)、『吸血鬼ドラキュラ』(1958)と立て続けにユニヴァーサルの怪奇映画をカラーで銀幕に甦らせたハマーが、コナン・ドイルの同名小説を怪奇色を強めて制作した、史上初の総天然色ホームズ映画。監督にテレンス・フィッシャー、ホームズ役にはヴァン・ヘルシング役で既にそのイメージを兼ね備えていたピーター・カッシング、バスカヴィル卿にクリストファー・リーと、ハマー黄金期の最強の布陣である。
60年代に入ってしまうと、ガクッと演出の手腕が鈍ってしまうテレンス・フィッシャーもこの頃は元気一杯。ハマーの売りの一つであるテンポの良い演出に、ジェームズ・バーナードの音楽が乗れば、ホームズと言えどもそこはもうハマー・ワールド!
そして、本作でのカッシングはテンポの良い演出に負けない程に、早い。台詞回しや頭の回転、行動力は勿論のこと、とにかく周囲の人を会話の中やその場に置きざりにして、理知的な青い瞳で一人謎を解いては先回り。その頭脳明晰なスピード感たるや、まさしくホームズ。元々、ホームズ・ファンとしても知られるカッシングのホームズ役は「最高のホームズ」と評され非常に評判も高く、この後カッシングはBBC放送のシリーズで1968年からホームズを演じることとなる。
更に、リーがハマーで「普通の人間」を演じたのは何と本作が初。それ故にリーがタランチュラに怯えるシーンを見ると、えー、ドラキュラ伯爵がタランチュラ程度で冷や汗かくなんてっ!?と違和感を感じてしまうのは怪奇映画の観過ぎというものであろうか。ちなみに、リー本人も本当に蜘蛛が大嫌いなそうで、あの冷や汗はあながち演技でもないのかもしれない。
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