Blood from the Mummy's Tomb (1971)
Director:セス・ホルト
Cast:ヴァレリー・レオン / アンドリュー・キーア / ジェイムズ・ヴィリアーズ / ヒュー・バーデン
Production Company:ハマー
ハマー・フィルムが制作したミイラ・シリーズ第4作目。と位置付けられることの多い本作品ではあるが、その実、原作はブラム・ストーカーの小説であり、いわゆる全身を包帯で巻かれたミイラ男は登場しない。ミイラ男を期待して観ると肩透かしを食らうことは必至な作品である。
古代エジプトで暗黒の王女として恐れられていたテラは、毒殺された後、右手首を切断されて埋葬されていた。時は現代となり、考古学者であるジュリアン・フックスは、テラの墓を発見し遺体を密かにロンドンへと持ち帰る。しかし、偶然にもテラの遺体の発見と同時に生まれたフックスの娘マーガレットは、テラと瓜二つの外見をしていた。やがて、誕生日にフックスから贈られたテラの指輪をきっかけとして、マーガレットはテラの意思に操られはじめる。
当初、考古学者フックス教授役にはピーター・カッシングが予定されていたものの、愛妻家で知られるカッシングの妻ヘレンが1971年に死亡したことによりカッシングは降板。急遽アンドリュー・キーアに交代となった。しかし、『凶人ドラキュラ』(1966)を観ても分かる通り、キーアはカッシングの代役としてはやや役者としての魅力に乏しく、何とも微妙なキャスティングである。
さらに、肝心のヴァレリー・レオン演ずるテラは、妖艶なことこの上ない姿で埋葬されているが、棺から特に起き上がることもなく寝たままマーガレットを操るのみで、我々男性陣の期待を裏切り続ける。切り落とされた右手首がうごめくシーンだけは怪奇映画らしいものの、その後のテラの墓を暴いた研究者達が一人一人復讐されていく演出は、単調な繰り返しでひどく退屈。ヴァレリー・レオンの妖艶なテラを生かし切れなかったことが惜しまれてならない駄作。
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