Captain Kronos: Vampire Hunter (1974)
Director:ブライアン・クレメンス
Cast:ホルスト・ヤンソン / ジョン・カーソン / キャロライン・マンロー / シェーン・ブライアント
Production Company:ハマー
ハマー・フィルムがその末期に産み落とした怪作。量産された吸血鬼映画に新たなる方向性を見出そうとしたハマーが、アクション性を高めた剣戟と吸血鬼映画を組み合わせた!何とも言えぬこの奇妙な組み合わせの作品ではあるが、これが中々どうして面白く、当初は連続活劇化される予定であったものの本作1作でハマーの終焉を迎えたのが非常に惜しまれる佳作である。
プルシア軍でその名を馳せたキャプテン・クロノスは、出征中に母と妹を吸血鬼に奪われ、吸血鬼ハンターとしてグロスト教授と共にさすらいの旅に出る。やがてクロノスのもとに、かつての戦友であるマーカス医師から、村で若い娘達が相次いで急激に年老いては死亡するという奇怪な便りが届く。クロノスとグロスト教授はこれが吸血鬼の仕業と見抜き、吸血鬼退治に乗り出すのであった。
西部劇よろしく、酒場のゴロツキ相手に剣の居合抜きをするシーンや、ジプシーの娘を演ずるキャロライン・マンローとのラヴ・シーン等、本作は思いの外見せ場が多い。また、吸血鬼が誰であるのかという謎も物語後半まで明かされないため、緊張が終盤まで維持されており、怪作ではあるものの意外に良くまとめられた映画として楽しめる。吸血鬼が通り過ぎると花が枯れるという細かい演出も好感が持て、マニアの間では『吸血鬼ハンター』(1974)は評価が高い。
惜しむらくはクロノスを演ずるホルスト・ヤンソンがいまいち決定力に欠けるという点であるが、それでもシリーズ化されれば痛快なものとなったであろうだけに、ハマー・フィルムの終焉が先に訪れてしまったことは残念なことこの上ない。リーが演じた正当派のドラキュラ・シリーズとは完全に方向性を異にする変化球的な作品であるが、こういった活劇もたまには良いのではないだろうか。
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